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2014年のF1開幕 [モータースポーツ]

2014年のF1が3月14日のオーストラリアグランプリ、フリー走行で開幕します。

2014年はWEC、WTCC、国内でもスーパーGT、スーパーフォーミュラなど、多くのカテゴリーでレギュレーションが変更されたり、フォーミュラEが始まったりと、モータースポーツファンにとっては楽しみなシーズンです。

特にF1はエンジンを含めたパワーユニット、ノーズ高やフロントウイング幅など、車両レギュレーションが大きく変わりました。

今日は、2014年のF1に採用されたパワーユニットについて書きます。


2014年F1のパワーユニットの特徴は、エンジンの小排気量化とターボ搭載、ERS(Energy Recovery System:エネルギー回生システム)の拡張です。

2013年までは、2.4LV8ポート噴射自然吸気ガソリンエンジンにKERS(Kinetic Energy Recovery System:運動エネルギー回生システム)を加えたものでしたが、2014年F1のパワーユニットは、1.6LV6直噴ターボガソリンエンジンに、MGU-K(Motor Generator Unit-Kinetic)、MGU-H(Motor Generator Unit-Heat)と呼ばれる2つのモーター/ジェネレーターを付加した構成になります。


簡単にシステムの作動を説明すると、MGU-Kは減速時に運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに蓄えます。加速時にはバッテリーに蓄えた電気エネルギーを使ってMGU-Kを駆動することで加速をアシストします。2013年までのKERSと機能的には一緒です。

MGU-Hは排気ガスで駆動するタービンと吸気を圧縮するコンプレッサ(つまりターボ)の同軸に配置され、MGU-Hをジェネレーターとして使用することで、排気ガスの熱エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに蓄えたり、加速時にMGU-Kを直接駆動します。また、加速時にはMGU-Hをモーターとして使用することで過給圧の立ち上がりの遅れ(ターボラグ)を短くする使い方もあります。

MGU-Hは今のところ市販車には採用されていないアイデアですが、一般的には電動アシストターボチャージャーと呼ばれ、IHIや三菱重工が試作品を作っており、自動車メーカーでも実車に搭載して開発・評価しているようです。主に燃費やエンジン応答性の改善に効果があるようです。もしかしたら、F1に参戦している欧州自動車メーカーが近いうちに市販車に搭載するかもしれませんね。


F1に話を戻します。2014年のF1は燃料(ガソリン)の使用量制限への対応がポイントになりそうです。

まず、1レース(決勝スタートからゴールまで)で使用可能な燃料が最大100kgに制限されます。コースにもよりますが、制限がなかった2013年と比べて約3割減になるようです。

さらに、最大燃料流量が100kg/hに制限されます。これは、おおざっぱに言えばエンジンの最高出力制限です。

コースによって差はあるものの、F1は約1時間半のレースなので、2014年は平均すると100/1.50=約66.7kg/hの燃料を消費するわけです。平均時速をざっと200km/hとすると、66.7/200=0.33kg/km、F1でどんなガソリンを使っているのか知りませんが、ガソリンの比重を0.75として燃費を計算すると、1/0.33=3.00km/kg= 2.25km/Lとなります。

最近はJC08モード燃費が、30km/Lを超える市販車も出てきていますので、レースはガソリンをたくさん消費するなと感じるもしれませんが、200km/h程度の平均速度で走っているレースの燃費であることを忘れてはいけません。先ほども述べましたが、2013年までに比べると3割くらい燃費は良くなるようです。


F1は決められた周回数(305km余りの距離)を、できるだけ短時間で走る競技です。2014年からは100kgという燃料使用量制限が加わりますので、非常にレース戦略が複雑になりそうです。つまり、100kgのガソリンという各車に等しく与えられたエネルギーを、ERSを上手に活用しながら、いかに効率良く使うかがポイントになるはずです。もちろん、昨年までと同様にピレリタイヤのマネジメントに気を使うことも重要です。


ここ数年、エンジン開発が凍結されて、F1の性能にとって空力が非常に重要だったのですが、2014年はエンジンを含むパワートレインも話題になりそうなので、とても楽しみです。


プレシーズンテストではルノーエンジン搭載チーム(レッドブル、ロータス、トロロッソ、ケータハム)はパワーユニットの制御系にトラブルがあったようであまり走れませんでした。特にレッドブルは車両側(冷却系)にも問題を抱えているようで深刻な状態です。一方、メルセデスエンジンを搭載する、メルセデスやウイリアムズが好調なようです。

2009年 2008年 (誤記訂正2014.03.14)後半以降は、ほぼ一貫してレッドブル&セバスチャン・ベッテルが最強を維持してきましたが、2014年は、少し違った勢力図になるかもしれません。


オーストラリアグランプリ決勝レースは3月16日です。日本との時差が少ない(現在、オーストラリアはサマータイムなので+2時間)こともあり、見やすい時間帯にテレビ放送されます。興味のある方は、観戦してみてください。


2014F1開幕戦オーストラリアGP
テレビ放送予定
BSフジ
予選:3/15(土)19:00~20:00
決勝:3/16(日)17:00~18:40

CS(フジテレビNEXT:有料放送)
全セッション生放送
金曜フリー走行1 :3/14(金) 10:25~12:10
金曜フリー走行2:3/14(金) 14:25~16:10
土曜フリー走行:3/15(土) 11:55~13:10
公式予選:3/15(土) 14:50~17:00
決勝直前生中継:3/16(日) 14:30~14:50
決勝:3/16(日) 14:50~17:50


最後に、2013年末にスキー事故で頭部に重傷を負い、現在も昏睡状態の、ミハエル・シューマッハの回復を祈っています。


参考資料
IHI技報 Vol.51 No.1 ( 2011 )
電動アシストターボ!!
http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&ved=0CCgQFjAA&url=http%3A%2F%2Fwww.ihi.co.jp%2Fvar%2Fezwebin_site%2Fstorage%2Foriginal%2Fapplication%2F8f83654952daebd6c5f2b3c6d75f8619.pdf&ei=Xp0hU_HrGISFkAWSmYGADA&usg=AFQjCNFBxV6bUHopamfIQjVed0mEvnJFOA&sig2=K8T2vRmVgYLlBPSnhk1XMw&bvm=bv.62922401,d.dGI&cad=rja


三菱重工技報 VOL.43 NO.3: 2006
電動アシストターボチャージャ“ハイブリッドターボ”の開発
http://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/433/433036.pdf

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